三遊亭金馬師匠


鎌ヶ谷工場「手折りめん」レポート
小さな鍋で、誰にでも簡単においしい麺が茹でられないものか...。そんな 家庭料理の素朴な発想から生まれた「手折りめん」(食品産業技術功労賞受賞)。「安心」「安全」「おいしい」にこだわり、人の手による工程を大切に、手間 ひまをかけて作られています。今号では、この手折りめんを専門に製造する、 鎌ヶ谷工場の渡部英治工場長にお話をうかがいました。



「安心」「安全」「おいしい」をご家庭に。
一つひとつに、手間ひまを惜しみません。

国内産の原料へのこだわり

--手折りめんは、乾麺でありながら本格派の風味が特徴です。
渡部 それは、良質な原料を厳選しているからです。そば粉、小麦粉、塩、 水は、ダッタンそば以外はすべて国内産。これらを、まずミキサーに入れて混ぜ合わせます。ミキサー1 台には、約1400〜1500 食分の原料が入るんですよ。
--1 台でそんなに!すごい。
渡部 今、作っているのはそばですが、鎌ヶ谷工場ではうどんやラーメン、素麺など、手折りめんを製造しています。それぞれ原料も異なりますから、例えばうどんの後にそばを作る場合は、そのつど機材を洗って清潔にします。大変な作業ですが、だからこそお客さまに安心して召し上がっていただける手折りめんができるのです。

帯状から棒状、そして麺へ

--原料が練り上げられて、帯のようになって出てきました。
渡部 これは麺帯複合機といって、練り上げた原料を帯状に伸ばす機械です。 この後、食感の良いそばになるように、7 機の麺帯圧延機を通して厚みを調整 していきます。そして、ほどよい厚みになった麺の帯が、麺線切出機で棒状 に切り出されます。
--麺らしくなってきましたね
渡部 いわゆる「生そば」ですね。この状態でも、茹でればおいし く食べられるんですよ。5層になったコンベア上を移動させながら、 風を当てて一次乾燥をするのです。
--余分な水分が飛んで、麺がしなやかになった感じです。

渡部 でしょう?この麺を次に待っているのが切断機。ここで1 食分、長さ にして40cm ほどに切りそろえていきます。

一つひとつ手折りし、熟成乾燥

--やわらかそうな麺ですね。
渡部 ここからが手折りめんの真骨頂。切りそろえられた麺は、1 食分ごとに 計量し、手作業で折り上げていきます。コンベアの流れと人の手の動きがかみ 合うよう、4 人のスタッフがつきっきりで、麺を四つに折り上げていくので す。
--大変そうだけど、皆さん、きれいに折っていきますね。

渡部 この風合いは、手づくりでなければ生まれません。乾麺であっても、 手間ひまをかけるからこそ、独自の味が生まれるのです。
--コンベアは網状の台がたくさんある部屋に続いています。

製造工程・乾燥渡部 乾燥室です。手折りめんは、24時間熟成乾燥させて完成 します。一般の乾麺は9時間程度の乾燥ですが、手折りめんはその2倍以上の時間をかけて、じっくりと乾燥させているのです。これは、弊社の特許製法。熟成乾燥によって、シャキッとした歯ごたえと、喉ごしの良さ、腰の強さを実現しているのです。
--1 日にどれぐらいの手折りめんを製造しているのですか。
渡部 1万4000〜5000 食ですね。手折りめんは、手のひらサイズに 折り上げていますから、小さな鍋でも調理OK 。麺のほぐれもよい形状になっており、沸騰したお湯の茹でこぼしも起こりづらいのが特徴です。安心して、安全に、おいしくお召し上がりい ただけます。また全製品に、だしにこだわった特製の麺つゆが付いていますから、誰でも簡単に調理できます。私たちが心を込め、手間ひまをかけて作った手折りめん、どうぞお召し上がりください。

製造工程・ミキサー
製造工程・圧延機製造工程
製造工程・乾麺切り出し機




おそばのはなし
--水無月 つゆに欠かせぬ「醤油」の由来

梅雨(つゆ)は、梅の実が熟す時期の長雨のことですが、物にカビが生えやすい時期のため「黴雨(ばいう)」とも書きます。でも、このカビは悪モノばかりとは限りません。 麺の〈つゆ〉づくりに欠かせないのが「醤油」です。 今日の醤油のモトとなった調味料「溜(たまり)」が出現したのは鎌倉時代のことです。建長6年(1254 年)、信州の禅僧・覚心が、中国の径山(けいざん)から径山寺味噌の製法を持ち帰り、紀州・湯浅の村人に製法を教えているうちに、桶底に溜まった液汁で食べ物を煮るとおいしいことを発見。これが、今日の醤油の始まりになったというわけです。その醤油は、大豆と小麦粉を原料にこれに食塩と水を加えた麹カビの酵素作用と酵母・細菌とを繁殖させて熟成させたもの。 日本の気候風土が育てた調味料ともいえるのです。

おそばのはなし
--七夕の日は「素麺の日」

7月7日の七夕は、牽牛と織姫の祭り。 染織、裁縫、書道、詩歌の技芸上達を祈る年中行事ですが、平安時代から七夕に素麺(そーめん)をお供えしたことから、現在は〈素麺の日〉にもなっています。 素麺は、奈良時代に中国から渡来した唐辛子の〈梁餅(さくへい)〉が原形とされ、 今から約1200 年前、三輪の里(奈良)で採れる小麦を大神神社(三輪明神)・大物主(おおものぬし)の次男が石臼で挽いた粉に境内の湧水を加えて作ったものが最初と言われています。 当時は、小麦粉と米の粉を練って縄状にひねったもので、遺族が食べる高級なお菓子の一種だったようです。 鎌倉時代に油を塗布(とふ)した細かくて腰のある麺になり、中国語の〈素麺(スーミエヌ)〉が訛(なま)って〈そーめん〉になりました。 一方、冷麦(ひやむぎ)は、うどんの仲間として奈良時代に渡来した唐辛子の〈饂 (こんとん)〉が原形とされています。 後に〈切り麦〉と呼び、蒸籠(せいろ)などに盛って食べる熱いものを〈熱麦(あつむぎ)〉、冷やしたものを〈冷麦〉と呼びました。 現在、素麺と冷麦は、JAS (日本農林規格)により 〈麺の太さ〉で分類されています。

 

季刊つるつる Vol.5
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