茂野「麺紀行」
第44回 「やぶ忠」のそば(葛飾柴又)

葛飾柴又といえば、ご存知の通り「フーテンの寅さん」で有名。渥美清さんが亡くなってもうだいぶ経つのに、未だに寅さんファンがたくさんやってきて、柴又はいつも大賑わい。暮れ(2009年)に私も京成電車の高砂駅から金町行きに乗り換え、柴又にやってきた。本来の目的は散策。時間があったら麺紀行のネタにそば屋でも探して入ってみるかという軽い乗りだった。帝釈天の参道で名物の草だんごや、のしイカなどを食べた。まるで小学生の下校途中に内緒で買って食べたときのような楽しさがある。帝釈天でお参りしてから、川千屋の脇を通って、裏手の土手を登る。

土手からは江戸川を挟んで対岸の松戸方面が良く見える。穏やかな陽気で、江戸川の水面がまるで鏡のように大空を映している。そこに矢切の渡しの舟がゆっくりと滑ってゆく。土手の上を自転車やジョギングする人が次々に行ったり来たり。なんとものどかな風景。何も時間をかけて遠出しなくても、比較的近場にこんな素晴らしい場所があるのだ。小一時間江戸川の河川敷を歩き、少しお腹を減らせてから来た時に目をつけていた「やぶ忠」というそば屋に向かう。

参道は少し暗くなっていた。人通りも少なくなっていた。鰻屋や、居酒屋の赤提灯が郷愁を誘う。「やぶ忠」はそんなたくさんの軒先の並ぶ中にあった。落ち着いた外装。しかし、大きな赤い提灯が目立つ。店内にはそれほど広くない。土産屋を兼ねているからだ。壁に何かと話題の亀田一家(ボクシング)が帝釈天で豆まきをやったときの写真が掲示されていた。もちろん寅さんの写真も貼ってあったが、どちらかといえば亀田一家の写真のほうがメインだった。

さて、味噌田楽(こんにゃく)をつまみに生ビールを頂いてから、シンプルに「せいろ」(600円)を注文する。実はちょこちょことつまみ食いをしながら歩いたので、全然お腹が空いてなかったのだ。正直、そのそばにも期待していなかった。だいたい柴又で美味しいそばが食べられるわけがないと高を括っていた。それがまったく期待を裏切った。旨いのだ。しかも、ものすごく旨い。もちろん手打ちだけど、しゃきっとして、角が立っていて、コシもあるし、一流のそば屋である。

あとでわかったのだが、本店が柴又街道にあって、非常に有名らしい。お腹が空いてないのに、思わずお代わりしようかと思ったくらい満足のひと品だった。柴又は何度も訪れる私の好きなスポットのひとつだけど、またこれで楽しみが加わった。また近いうちに「やぶ忠」を訪れたい。

2010.2.25 Zaki


左: 土曜日の昼下がり。帝釈天の参道は活気に満ちている。
右: 矢切の渡し。最後のお客さんが乗り込もうとしているところ。ほぼ満員だ。

左: 「やぶ忠」参道店の外観。大きな赤い提灯が目印。
中: 同店のみそ田楽。暖ったまる。
右: 光量が足りなくてイマイチな写真だけれど、実際にはやや透き通るようなみずみずしい色合い。また、きりっと冷えている。


やぶ忠・参道店
東京都葛飾区柴又7−7−8
TEL:03-5668-6658

- ホームページ -


せいろ 600円
とろろ 900円
おろし 900円
山菜おろし 1,100円
鴨せいろ 1,100円
天せいろ 1,100円
一升そば 2,500円

地図は同店のホームページからお借りしました。

2010/2/25 文・写真: 柴崎 隆
同地を訪れたのは2009年12月です。



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