茂野「麺紀行」 第31回 中華そば「朱華園」(尾道)

赤い屋根の尾道駅舎。背後はすぐ山になっている。
単に尾道ラーメンを食べに行く!それだけの為に時間とお金をかけて尾道(広島)へ旅をすることにした。うまいものを食べたい、そのためには多少のリスクを背負ってでも行くというのもたまにはいいかもしれない。まして、その有名なラーメンの本場が風光明媚な観光地だということもあった。

といっても、たかだか530円のラーメンを食べに行くというのは、とんでもなく贅沢である。電車賃は片道17,700円(新幹線利用)である。当初は尾道ラーメンを食べて、とんぼ帰りにしようかと思ったが、どうせ行くなら、ついでに広島まで足を延ばして、1泊くらいして、夜は「広島焼き」に冷たいビール、あわよくばアナゴに牡蠣など広島名物で舌鼓というような計画に変更した。

尾道は何回か近辺まで行っているものの、いつも素通り。新幹線の駅が市街地と離れていることにもよる。10月10日午後1時半、私は初めて尾道の駅頭に立った。噂に違わず本当に風光明媚なところだった。駅前のロータリーを挟んですぐ海で、その海の向こうの手の届きそうなところに島があり、狭い海峡をひっきりなしにフェリーボートが往復している。駅の反対側はすぐ傍まで山が迫り、映画に良く出ててくるような急な石段の風景がそこかしこにある。商店街を歩けば、もちろん観光客を狙ったようなノスタルジック、かつ、かっこいい店もあれば、単に老朽化しているだけの店もあって、これまた雰囲気は最高。

尾道ラーメンを食べる店は既に決めていた。この地に古くからあって、その名を全国的に馳せている朱華園(しゅかえん)。同店の「中華そば」が尾道ラーメンの名を世に知らしめたのである。但し、その朱華園の中華そばは、自ら一度も尾道ラーメンと名乗ったことが無く、口コミも含めたメディアが勝手に朱華園の中華そばを尾道ラーメンとして紹介したようだ。それは千葉でも似たようなケースがある。竹岡式ラーメンの発祥の「梅乃家」が竹岡ラーメンと名乗っていないことである。因みに「竹岡ラーメン」は別の店が商標登録している。


尾道ラーメンには大雑把に分けて2種類の系統がある。それは私のにわか知識であるが、まずは前述の朱華園の中華そばを尾道ラーメンと言う場合。鶏がら出汁にミンチ状の豚の背脂、ひらべったい手打ちの麺。対して、その味に瀬戸内海で獲れる小魚の出汁を加えてアレンジしたもの、それを尾道ラーメンという場合である。全国的には後者を尾道ラーメンと言うケースのほうが圧倒的に多いようだ。色々なサイトを閲覧すると、尾道ラーメンの特長のひとつとして、「小魚でとった出汁が加えられている」と記述されている。但し、どちらも尾道ラーメンには間違いない。

茂野製麺の「尾道風(手折り)ラーメン」は後者のほうである。鶏がら、豚の脂の旨さに加えて、小魚の出汁のいい風味、そして、乾麺だけれど、まるで手打ちのようないい感じの手折りめん。私が言うと自社の宣伝のようで申し訳ないのだが、結構旨いのだ。是非お試しされたし。

http://shigenoweb.ri.shopserve.jp/SHOP/31230.html
(しげのオンラインショップ・手折りラーメン3種)

朱華園は、尾道駅から約1km東のほうへ歩いたところにある。古びたアーケードの店を冷やかしながらそぞろ歩きしているとあっと言う間に到着する。近くにはミニ京都のような千光寺へ登る参道や、ロープウェイもあって、尾道のほぼ中心部と言ってもいいだろう。人気店なので並ぶのも辞さない覚悟で臨んだものの、いきなり座れたのでラッキーだった。店内はそれほど広くもなく、ラーメン屋としては普通サイズである。約8割の客が入っていた。午後2時を回っていてだから、正午辺りの混雑ぶりは推して知るべきだろう。

先ず、入り口で店員さんに注文し、プラスチックの札と引換えにお金を払う。お冷はセルフサービス。席に着くと、約5分で注文した中華そばが運ばれてくる。写真を慌てて撮る。写真に時間をかけると、せっかくの味が落ちてしまう。まずはレンゲでスープを一口すする。見た目は濃い色の醤油だ。あっさりはしているものの、中華そばと
いう名前の印象から想像していたよりも濃厚でこってりとしている。私としてはもっと味が薄いほうが好みだ。だが、間違いなく旨い。コクがある。

麺は下調べしたとおり、やや平べったい手打ちの麺。つるつるした食感。もっとしゃきっとした感じを想像していたが、コシは普通だと思う。いや、むしろ柔らかめかもしれない。スープとの相性はいいと思う。チャーシューはやや薄めだが、右の写真のように大き目。スープとの調和も取れている。これで530円はかなり安い。つい最近まで450円という価格だったらしい。食べながら、懐かしい気分に浸れた。昭和の時代にスタンダードだった鶏ガラのベースの味もさることながら、きっとそこが情緒たっぷりの尾道だということもあるのだろか。

食後、ロープウェイで尾道市を見渡せる千光寺公園に行き、その展望台から尾道の街並みや尾道水道、尾道水道に架かる西瀬戸自動車道の大きな橋を眺める。曇り空でやや靄がかかった瀬戸内海だが、ずっと眺めていても飽きることのない素晴らしい景色をしばしの間楽しんだ。

2008/10/10 Zaki




左: 対岸の向島へ渡るフェリーが出航する間際、慌てて飛び乗る女性。
中: 小型のフェリーはかなりの頻度で尾道水道を往復している。尾道市民の大切な足だ。
右: これからロープウェイで千光寺公園へ昇る。右手遠方の山がそれ。料金は片道280円。



左: ロープウェイから見た千光寺。切り立った崖に建てられている。
中: 千光寺の鐘楼。尾道市街と遠く瀬戸内海の山々を見渡せる。
右:急な坂道を下っていったところにある三重の塔。まことに風光明媚である。


中華そば「朱華園」
広島県尾道市十四日元町4-12
TEL 0848-37-2077

営業時間 : 11:00〜20:00(麺が無くなり次第終了)
定休日 :  木曜・第3水曜


中華そば 530円
ワンタン 530円
焼餃子(4個) 230円

詳しい地図で見る



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茂野麺紀行の情報(例えば価格など)は旅行者(記者)が現地を訪れた時点のものです。
また、味などの感想についてはあくまでも旅行者の主観によるものです。


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