茂野「麺紀行」 第25回 「車屋」(行徳)の鍋焼きうどん

高い天井からぶら下がる大きな角型の提灯。店内BGMは小さめで好感が持てる。

上手にパーテーションで仕切られている。座敷と、個室、それにテーブル席もある。
行徳は、江戸川を挟んで東京に隣接していながら、お隣の浦安に比べると、やや知名度には劣る。地味なイメージがあるものの、かつては、塩の生産地として知られていたらしい。確かに塩に関する地名が残っている。曲がりくねった旧行徳街道には古い店や寺社もあり趣がある。江戸に物資を運ぶために開かれた航路には常夜灯があった。それは現存している。

行徳を少し有名にしたのは、結婚前の皇太子様が、雅子妃とデートした宮内庁の管轄する鴨場。私はその頃、割合近くに住んでいたので、毎日報道陣が取材に来ていたのを知っている。あれからもう十年以上も経って、人々の記憶も消えかかっている。行徳は再び以前の落ち着きを取り戻した。鴨場の周辺もまるで何事も無かったようにひっそりとしている。

そんな行徳に美味しいお蕎麦屋さんがあることをふと思い出した。やや値段は高いけれど、雰囲気がよく、ゆったりと落着いた店内が好きで時々は利用していた。和風を基調にしながら、どことなくお洒落なロッジ風のインテリヤがいい。天井からぶら下がる角型の大きく長い提灯がアクセントになっている。それが今回ご紹介する「車屋」である。2008年の4月中旬。実に十年以上ぶりに同店を訪れる。生憎、冷たい雨の降る夜のことだった。

午後7時10分頃、店内は天気が悪いのもあり、半分くらいの席しか埋まっていなかった。以前の記憶では、毎日満席になるくらいの人気店であり、おそらく今でもそうだろう。同店のそばはかつて何度も食しているのと、肌寒いのもあって、今回は鍋焼きうどんを食べた。そういえば、同店でうどんを食べるのは初めてだった。お値段は1500円と、ちょっと高い。もう少し安いと有難い。もちろん、手打ちのうどんであるし、それなりの食材を使っているのは分かる。

つゆは昆布でしっかり出汁をとり、色が薄めの関西風である。かと言って、薄味ではなく、むしろ私には濃い目だった。具はたくさん載っていて、ボリュームは申し分ない。それが、ぐつぐつ煮えた状態で出てくるので嬉しい。お店によっては、くたーっとなっていることもあるのだ。まあ、それはそれで嫌いではない。昔の鍋焼きうどんはむしろ、麺がやや延びているくらいだった。

ところがさすがに手打ちというだけあって、車屋の麺はしっかりしたコシがあった。鍋焼きだから、ぐつぐつ煮立てると少しは柔らかくなってもいいのだろうけど、不思議に延びていない。しかも、角が立っていて、食感がすこぶる良い。間違いなく美味しいうどんだ。この界隈では一番である。

具は、海老の天ぷら、玉子焼き、たけのこ、三つ葉、かまぼこ、鶏肉などおそらく十種類以上入っている。メインはそれらの具材の下にに隠されている地鶏の半熟たまご。これがバツグンに旨い。濃い黄色をしている。コクがある。最初に関西風の味を楽しんだ後で、たまごの黄身を割ると、また別の食べ物に生まれ変わるようで、鍋焼きうどんの醍醐味はその辺りにもある。

食べ終わって、しばらくはぽっかぽかだった。鍋焼きうどんは、寒い日にはもちろんだが、夏場でも時々食べたくなる。しかし、前述の通り、もう少しお値段がお安ければ嬉しい。お願いします。

2008/4/29 Zaki



左:常夜灯。
中:江戸川。前方、中央やや右に見える煙突は瑞江辺りのごみ焼却場のもの。
右:旧行徳街道沿いの古いお店。このような建物がところどころに残っている。




左:行徳駅前公園。なぜか名前と裏腹に駅前にはない。徒歩5分くらいのところではあるが・・・・。
中:市川野鳥の楽園。敷地内に、野鳥観察舎がある。鴨場は柵ひとつで隣接している。
右:宮内庁新浜鴨場の入り口。この中に一般の人は入れない。

「車屋」(市川市・行徳)
千葉県市川市入船14-1
047-395-7810 / 11:00〜20:30

あらびき蕎麦 750円
せいろ 600円
のり付きせいろ 700円
鍋焼きうどん 1500円
釜揚げうどん 980円
天ぷら 釜揚げうどん 1500円

最寄り駅
【東京メトロ行徳駅】 徒歩10分
駐車場有り


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